旭化成・スパーキッズの戦い方に見る、一つの解答

 え~と、管理人です。今まだ会社にいます。ようやく仕事が片付きました。これから帰宅するんですが、帰る前に前々からどうしても書きたいことが一つあったので、残業ついでにサクっと書いてしまいます。
 遅ればせながら、3日ほど前だったか、睡眠時間を削ってようやく1月25日の旭化成・スパーキッズ×NEC・ブルーロケッツ戦のビデオを観ました。遅過ぎですね。すいません。
 とても良い試合だったと思います。試合は前日終了時に首位に立っていたNECが、最下位の旭化成にセットカウント1-3で敗れるという波乱。おそらくNECにも油断があったんでしょうが、それ以上に旭化成の出来が素晴らしかったです。鳥肌が立つほど、最初から最後までほぼ完全に旭化成のゲームでした。
 ただ、この試合が良い試合だと思った理由は、旭化成の出来に感動したのもあるんですが、それ以上に、旭化成のやろうとしているバレーボールに、日本代表の姿が重なって見えたからなんです。
 旭化成のバレーは、ある意味シンプルです。一言で言ってしまえば「繋ぎ」のバレー。少し詳しく書くと、

1.サーブカット(レシーブ)をきっちりとセッターに返す
2.センターの速攻を多用し、ブロックを引き付ける
3.強いサーブで相手のレシーブを崩す
4.最後まで諦めない

 これだけです。いや、もしかすると、こんなこと他のチームもやろうとしているのかもしれませんが、この日の旭化成から感じられた「自分達のバレーをするんだ」という強い意志は、他のチームからは感じられないほど強いものでした。
 裏を返せば、旭化成はそうしないと勝てないわけですね。他のチームが皆、外国人選手を獲得して攻撃力を強化しているのに比べ、日本人のみの旭化成は、決定力に欠けます。ブロック2枚を打ち抜けるような大砲が一枚いれば、多少レシーブが乱れたとしても何とかなったりしますが、そこまでの決定力を持った選手がいない旭化成は、いかに相手ブロックに的を絞らせないかが勝負の鍵を握ります。きっちりとサーブカットを返し、センターを多用し、ブロックを引き付けておいてレフトやエースの負担を減らす。ラリーポイント制になって、センターからの速攻は少なくなる傾向にある中、旭化成はまるで時代を逆行するような攻撃の組み立て方をしていました。
 また、強いサーブで相手のレシーブを崩し、エースにボールを集めさせることで、逆にブロックの的を絞り、相手の攻撃を封じていました。いかに世界一のエースであるロドリゲス選手でも、あれだけレシーブが乱れ、無理な体勢から上がって来たトスを無理して打っていれば、ミスや打ち損じも出てくるわけです。
 何より、旭化成はとにかくボールを自陣コートへ簡単に落としません。最後の最後までボールに食らいついていきます。誰も諦めない。とにかく良く繋がるんです。
 バレーボールは、一つのプレーが単発で終わりません。一つ一つが、次へ次へと繋がっていきます。サーブカットがきっちり返れば多彩なコンビバレーが機能し、サーブで相手を崩せばブロックの的を絞ることが出来ます。ブロックがきっちり2枚付けば、相手のスパイクコースを限定してレシーブできる確率も上がる。すべてが繋がっていくんです。
 この日の旭化成からは、そういう意図がはっきりと感じられました。「俺たちはこういうバレーをするんだ」と、観ているこちらにはっきりと伝わってきました。
 印象的だったのは、前半、さっぱりスパイクサーブが入らなかった南選手が、途中でジャンプフローターに切り替えたこと。いわゆる「入れてけサーブ」ですね。ともすれば「弱気になった」とも取れるプレーですが、結果、相手がミスを繰り返して旭化成は勝利しました。サーブは、ミスをすればそこで相手のポイントになってしまいます。しかしとりあえず入れておきさえすれば、相手がミスをする可能性が残るわけです。状況に応じ、臨機応変に対応すること。ただ闇雲に強いサーブを打ち、ミスを連発し、自滅していったW杯2003時の日本代表とは対照的です。
 そしてもう一つ。このチームを引っ張っているのは、34歳のベテラン、末次選手。1m近いジャンプ力を誇りますが、近年のセンタープレーヤーとしては劇的に小さい185cm。そんな選手が、2m近い選手を相手に5割以上の決定率で速攻を叩き込み、世界一のエースをシャットアウトする。2月1日現在、選手個人ランキングにて、アタック決定率6位にランクインしています。ブロックはさすがにランク外ですが、試合を見た限りでは、要所要所できっちりとワンタッチ取ってチャンスボールに繋げているんですね。センター(ミドルブロッカー)はでかけりゃ良いってもんじゃないことを、改めて感じました。
 ただ、旭化成の選手がそのまま世界へ出ても勝てないでしょう。やはり高さもパワーも無いですし、世界の攻撃力はVリーグチームの比ではないですから、「繋ぐ」にしても限度があります。ただ、日本代表が、山本選手が、加藤選手が、旭化成のような「繋ぐ」バレーを展開したらどうでしょう。旭化成とその他のチームが、日本と世界の競合に重なって見えませんか。
 試合が終わり、選手がインタビューを受けている最中、ベンチサイドにてタオルで目を覆う高橋選手の姿が映りました。長いリーグ戦のうちのたった1試合ですけど、彼にとって、旭化成にとっては、特別な試合だったのでしょう。なにか、胸にぐっと来るものがありました。日本代表にも是非、負けて泣くなんていう情けない姿で同情されるんじゃなくて、勝って流す嬉し涙で僕らを感動させて欲しいものです。

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コメント

管理人さんの意見に大賛成です。旭化成の試合はテレビで結構放送されるんですが、とにかくよく繋いで、よく拾って、最後まで絶対諦めませんよね!僕は高橋選手みたいな気合いでプレーする選手が大好きです。それに旭化成の試合は見ていて応援したくなるようなバレーをしますよね。世界の流れとは逆行してますが、僕もこのまま旭化成には今のバレーをずっと貫いてほしいと思います!

時代に逆行するのが良いか悪いかは僕には分かりませんが、戦術の一つとして熟慮されたものには間違いと思います。
管理人さんの言う通り日本が世界と戦うために必要なモノが旭化成にはあると思います。NECや松下のような代表クラスの選手はほとんどいませんが、しっかりとした目標、方針を持つことによって南選手を除き190cm弱が中心の旭化成でも十分戦うことが出来る。見てて心から違う意味でのおもしろさを感じます。
長くなってしまいすいません(>_<)

自分は東レファンなのですが、NEC戦を見て旭化成にひかれるものを感じました。それは、管理人さんのおっしゃっていたように、繋ぐバレー、拾うバレーができていたことや、チーム一丸となって勝つぞ!とゆう形にまとまっていたからだと思います。そんな中で私が今旭化成の中で一番注目しているのはセッターの熊谷選手。あの試合を見たところでは宇佐見選手に勝とも劣らないスピードのあるトスに、頭脳派的な計算されたトスで勝利に貢献していたと思います。熊谷選手がもし全日本のセッターになってもおもしろいのではないでしょうか??
とかちょっと思ってみたりしました(^_^;)

そうですか!旭化成さんそんなに良い試合してましたか。私なんか、個人的には山本選手がいる松下を応援しているので、旭化成にまぁ結果だけですけど、負けたと知ったとき単純に、なぜ?旭化成に負けたの?と思ってしまったんですよね。管理人さんの詳しい説明書きを見せて頂きまして、改めて自分が思った事が、とても恥ずかしく思いました(;_;)あの日旭化成はまさに韓国と同じような試合展開をしていたのですね。驚きました。全日本も見習わないといけませんネェ~そして、やはり涙と言うのは、勝利の涙にして欲しいと思いました(^o^)/~

>トマトさん
管理人も高橋選手みたいな、分かり易い選手は大好きです。

>ひろさん
チームの中心が南選手ではないってところが、このチームの面白いところでもありますね。

>黒須 真さん
熊谷選手、確かに面白いかもしれませんね。

>たかじゅんさん
確かに旭化成は最下位ですから、首位の松下が敗れるのは波乱と言っても良いのでしょうけど、はまった時の旭化成は強いですからね。

第10回Vリーグを大混戦にしているのは、間違いなく旭化成だと思います。

私も旭化成のバレー大好きです。
他のチームが結構個人の技術でポイントを重ねるシーンが見られるゲームをするのに対して、
旭化成はワンタッチをとってからのつなぎだとか、ブロックにわざとあててフォローして展開するバレーだとか、
皆で足りない部分を補い合って、粘って粘って突破口を見つけてますよね。
見ていてとても応援したくなります(*^-^*)
パワーの加わった全日本が、粘りのバレーを復活させたら最強ですよね!!

>美奈子さん
旭化成も毎試合素晴らしいプレーを見せているわけではないですが、つぼにはまった時は観ていて感動ものです。
日本代表にはあんな試合を毎試合続けてくれたらな、と思います。

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