「100パーセントの闘争心」を読みました
買いました。そして読みました。
以前当サイトでもご紹介した、吉井妙子氏による「100パーセントの闘争心」です。発売当初、ちょっと高価なもので買い控えていたんですが、あちらこちらで本書の内容について賛否両論の声を聞くにつけ、これは是非読みたいと思って購入しました。読んでからだいぶ時間が経ってしまいましたが、感想など。
どうしてこの程度の内容で柳本監督批判、著者の吉井氏批判の声があがるのか、いまいち理解できません。前評判を耳にしていたので、どれだけ酷い内容なのかとドキドキしながら読み進めたのですが、なんだか拍子抜けです。「酷い内容である」という先入観があったからなのかもしれませんが、読了1週間ほどが経過した今、冷静に思い返してみても、柳本監督を貶める目的で書かれた書籍ではないと感じます。
以下、ちょびっとネタバレかもしれないので、今後読まれる予定のある方はすっ飛ばしてください。
バレーボールは団体競技です。ベンチを含めて12人、監督、コーチやスタッフを含めたウン十人もの人間が集まり、皆が本気で何かを成し遂げようとするのであれば、衝突しない方がおかしいです。衝突しながらお互いを高め合い、磨きあい、認め合い、更なる高みへと登っていくものです。
しかし、監督と選手がお互いを十分に理解するには、1年半という時間は短すぎたんでしょう。最終予選までは偶然にもがっちりと上手く回っていた歯車が、ホンのちょっとしたことが原因でガタガタと音を立て始め、五輪本番までにその修正をすることが出来なかった。これがあと半年、いや、3ヶ月先に五輪が開催されていれば、また違った全日本女子が見られたことでしょう。
まるで柳本監督を批判しているように見えるのは、本書がすべて、選手側の視点に立って書かれているからです。柳本監督側の視点がすっぽりと抜けている為、選手側からの一方的な主張に終始しています。柳本監督が多忙の為、インタビューを行えなかったことは、あとがきでも吉井氏自身が書いています。「監督の視点に立ったドキュメンタリーはテレビで何度も放映されているので、選手側から見た柳本ジャパンの軌跡があっても良いと考えた次第である」と書かれていますが、そこはやはり、監督にもきちんと取材をしてから出版して欲しかったなと思いました。この為に、本書は非常にバランスを欠いた内容になってしまっているからです。
その一点と、既出の雑誌などに掲載された記事と被る部分があって気になったことを除けば、非常に内容の濃い、バレーボールの、特にアテネ五輪を戦った全日本女子チームのファンにとっては、必読の書であると思います。
アテネはスタートに過ぎなかったんだな、と再確認しました。
文藝春秋 (2004/12/10)
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コメント
昨日購入してから読み始め、昼の仕事を挟んで、紅白でマツケンサンバが登場する数分前に読み終わりました(苦笑)。
私も太鉄さん同様、柳本氏に、批判が猛烈に起こったのは、疑問です。ただ、第10回Vリーグで、大山選手が腰痛で欠場したのを観た、柳本氏の「甘やかされてる環境・・・苛め抜いて鍛えなおそう」という、下りは、ちょっと悪人ぽく誤解されやすい文だったような。
私は、再現映像を思い浮かべるような描写で、選手個々の言葉が、なんだか切なく感じました。
投稿者: もー | 2005年1月 1日 01:28
確かに、監督との意見の食い違いがあるのはある種当然の事だとは思います。
しかし、いくら選手側だけの立場に立った本書であっても、いくら選手との対立があろうとも、柳本監督の選手を罵る発言ははっきり言って確執・対立というモノではありません。特に、吉原・辻両選手に対しての物言いはあまりにも酷い。
試合やプレーに関係無い事を罵るのは許されざる事ではありません。成田選手が佐野選手からポジションを結果的に奪った事を成田選手が気にしてるのにそれをなじる。いくら監督であっても言って良い事と悪い事は区別しなければならないと思います。
投稿者: ゴドー | 2005年1月 4日 18:52
彼女たち日給2000円って・・・絶句です。
この本にはいろいろ突っ込みどころ満載なのですが、
アテネに入ったらみんなコンディションぼろぼろで
松坂投手のトレーナーにボランティアで・・・なんて
くだりや日給2000円なのにプレゼントをもらったなんて
いう「現実」がもっとも衝撃的でした。
いくらなんでもひどすぎる。
こんな状況の中メダルを目指してがんばっているのに
見返りが2000円なんて・・・選手や監督、
かわいそうすぎます。
明治時代じゃないんだから。
これって協会が悪い、とかいう問題ではないのでは?
バレーボールを食い物にしているのは誰なのか。
それとも食い物にすらならないの??
監督が悪いとかいう問題ではないでしょう。
選手のみなさんが気の毒すぎますよ。
今の時代、これでモチベーションあげろ、っていったって
無理でしょう。オリンピック5位のご褒美はあったのでしょうか。中国や韓国ですら、メダルを取ったり
すばらしいプレイをすれば選手は将来が保障されるわけです。
野球選手並みとまではいかないでしょうが、
せめてサッカー並みにすることすらNGなんでしょうか?
役員に金払うよりも選手たちの待遇を改善し、
すばらしいパフォーマンスをみせてくれた選手や監督の
努力に報いる報酬やスポンサーシップ収入が得られるよう
な体制を希望します。
ゴルフの宮里藍選手の1億円と比べて
これでは夢がなさすぎます。
投稿者: さいたまん | 2005年1月11日 01:30