記者の目:スポーツ英才教育=井沢真(東京運動部)
スポーツ選手の「英才教育」が、過熱している。将来を担うU18(18歳以下)年代の今に迫った連載「インサイド 次代の針路~多様化するU18の現場」(4月20~25日)の取材を通して、心身ともに疲れ切った中で夢を追う「金の卵」たちの実情を知った。選手の発掘、育成に懸命な競技団体の思いは分かる。だが、「勝利至上主義」の下での英才教育は、親元を離れた思春期の子供の負担への配慮が不可欠だと感じた。
(中略)
05年4月、将来の日本代表育成を目指し、大阪・貝塚のナショナルトレーニングセンターに、全国から将来性豊かな女子中学生を集めてアカデミーを開いた。
と、貝塚のアカデミーが現在抱える問題や未来への課題など、実情を伝える記事になっています。こういった突っ込んだ記事は今までありませんでしたね。
これまでに42人が入校し、途中で去った者も4人いる。近くの公立中に通いながら早朝、夜間を含め1日約5時間の練習。バレー漬けの毎日に心身ともに追い込まれた側面もある。以前に選手の生活をサポートしたアカデミー関係者は「精神的、肉体的な負担は相当なもの」と振り返る。寮を抜け出した選手を追いかけ、相談に乗ったケースは、1度や2度ではないという。
特に、親元を離れた思春期の子供たちのさまざまな悩みに対して、適切にフォローする環境が必ずしも十分でなかったことが、計画通りにいかない一因かもしれない。協会は今春から、アカデミーのスタッフに高校バレー部の指導経験も豊富な60歳代の女性を加え、「母親代わり」を担うことにした。こうした取り組みは一歩前進だ。
日本のバレーボールの将来を考えれば、素晴らしい活動であることは間違いないと思うのですが、ここの選手のことを考えると、中学時代に親元を離れてアカデミーでバレー漬けの日々を過ごすことが果たして幸せなことなのかどうか。それはこれからのサポートにかかっているのかもしれませんね。