コラム:五輪を逃した全日本男子、今こそ世界を見すえた強化とアイデアを/スポーツナビ
最終戦となったイラン戦後、張りつめていたものがぷつんと切れたように、選手たちの瞳から涙があふれた。
男子が五輪出場権を逃したことをうけてのスポーツナビのコラム。以下、気になった点を。
8チームが出場した今大会で、与えられる五輪切符はわずかに2枚。
これだけ読むと、女子に比べて男子はどうして出場枠が少ないのか、と思われてしまいそうですが、世界最終予選が、3カ所で同時開催されていたことをどれだけの人が把握していたでしょう。最終予選に割り当てられた枠は男女ともに3つなのですが、女子が1会場に3つの枠が割り当てられているところ、男子は女子に比べて参加国数が多い為、3会場にそれぞれ1つずつの枠しか割り当てられていません。それでも東京は、アジア大陸予選も兼ねている為に、見かけ上出場枠が2つになっていて、出場の可能性は高くなっています。
開幕前日に植田辰哉監督は、「この約1カ月半、サーブの見直しをしっかりとしてきた」と語っていたが、大会を通してサーブは機能せず、サーブランキングは最下位だった。
どう見直してきたんでしょう。あの結果で「しっかりしてきた」と言われても。
みんなすごくいい子だから、そこまでになりきれていないんじゃないか
それも見越して良い精神状態に持っていってあげるのが、スタッフの仕事だと思います。
北京五輪以降の4年間の強化を振り返った時、日本バレーボール協会と代表チーム首脳陣の、計画性とビジョンのなさが、今回の結果を招いたように思える。
まったく持ってその通りだと思います。
山村は、「これまでは五輪に出ることが目標で、行けただけで満足してしまっていた。次は、国と国のプライドをかけて戦う五輪の決勝戦のような試合を、あの場所で自分がしたいし、それができるチームを作りたい」と心に刻んだという。
その割には、未だに低いクイックを打ち、ファーストパスがネットから離れてもネットに突っ込んで行く。その舞台に立つ為にはどうすれば良いかを、本当に真剣に考えていたのかどうか。その舞台で戦っているチームを、プレイヤーを、研究することすら怠っていたのではないでしょうか。
何よりこの年、ワールドリーグの入れ替え戦でエジプトに敗れ、10年のワールドリーグ出場権を失ったことが痛かった。
この時に、植田監督更迭を真剣に考えるべきではなかったでしょうか。
16年リオデジャネイロ五輪に向けては、世界に勝つためのアイデアと自信を持った指揮官に、新生ジャパンを率いてほしい。
監督を代えるだけではダメなことは、このコラムを読んでみても分かります。まずは協会が変わること。まずは代表の人事に口を挟まず、スタッフの選任、選手選考の一切を監督に任せて、バックアップに徹すること。それが出来なければ、いくら優秀な人材を監督に据えてもダメだし、そもそも、優秀な人材が来てくれることは無いでしょう。